クレオパトラがモリンガオイル愛用した、という話を聞いた。しかし、「クレオパトラはバラを愛用したか?」の中で調べた主要な文献資料の中に、「クレオパトラがモリンガオイルを使った」という記載は出てこなかった。
ではなぜ「クレオパトラはモリンガオイルを愛用した」ということが言われるようになったのか?そういわれるに至った何か原因があるのではないか?
そこで、私は以下のように推論をした。
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①クレオパトラはカエサルやアントニウスを魅了するほどの美女だ。美容にも力を入れていたに違いない。
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②古代エジプトでは、美容法として、モリンガを調合したものが使われていたという記録がある。
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③クレオパトラもモリンガを使った美容法を取り入れていたに違いない!
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大方こんな風に考えられた経緯があったのではないだろうか。
モリンガ 葉の形がとてもかわいい |
それぞれについて、見ていくと、
①クレオパトラはカエサルやアントニウスを魅了するほどの美女だ。美容にも力を入れていたに違いない。
⇒クレオパトラが美女で、美容に力をいれていたかは、記述がない。そもそも彼女が当時の「美女」だったかどうか自体諸説あり、例えばプルタルコスは「彼女の美貌そのものはけっして比類なきものではなく、見る人をはっとさせるほどのものでもないと言われていた(「アントニウス伝」27)」といっている。しかし、パスカルが「クレオパトラの鼻がもっと低かったら世界は変わっていただろう」と持ち出した17世紀には、クレオパトラ=美女の図式が定着していたと思われる。
②古代エジプトでは、美容法として、モリンガを調合したものが使われていたという記録がある
⇒「肌のしわを防ぐためによく効く」ものとして、 下記のようなものがあげられている。
乳香のゴム、蝋、とりたてのワサビノキ(※モリンガ)の油、タイガーナッツを用意し、よくすりつぶしてから発酵した植物汁液をまぜて作る。これを毎日つけるとよい。
(E716 「エーベルスの医学パピルス」紀元前1550年頃)
日本語訳は「ファラオの秘薬」リズ・マニカ著、八坂書房編集部訳、1994年 p.68 より)
さらに、古代エジプトではモリンガオイルは香水の原料として使われていた。
ベン油(※モリンガオイルのこと)は、ベンの木(※モリンガ)の実からとれる油で、古代エジプトのテキストにはしばしばその名が記されている。この油は匂いがなく、甘い油で保存がきくために、香水の原料として高く評価されていた。
(「ファラオの食卓」吉村作治、1992年 p.171)
③クレオパトラもモリンガを使った美容法を取り入れていたに違いない!
⇒ということで、私の結論としては、クレオパトラがモリンガを使った美容法を利用していた可能性はある、といえるにとどまる。
ちなみに今回参照した「ファラオの秘薬」という本は、古代エジプトで使われた植物などについて、百科事典のようにまとめられた本である。絶版のため、購入は難しいので図書館などで探すのがおすすめ!
↓どこの図書館で借りれるか調べるときは「カーリル」というサイトが使いやすい。
https://calil.jp/book/4896946537
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